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さつまいもの栽培

さつまいもの品種と特性

高系14号が青果用として全国的に広く栽培されています。皮色は紅色、肉色は黄白色で肉質は粉質で、食味もよく早期肥大型です。この品種には地方名とともに皮色など の派生系統(枝変わり)に付けられた名前が多く、「高系」、「土佐紅」、「サツマベニ」、「鳴門金時」などがあります。
ベニアズマは甘みが強く、美味しいので青果用に人気の高い品種です。皮色は美しい濃紅色、肉色は鮮やかな黄色で、早期肥大・多収型です。反面、長くなる傾向があり、揃わず、貯蔵性も短いです。
パープルスイートロードは比較的栽培しやすい多収の青果用紫いもです。アントシアニン含量はアヤムラサキの5分の1なので色素原料には適しません。
クイックスイートの最大の特徴は、通常のさつまいも澱粉が70℃付近で糊化するのに対して、約50℃で糊化する澱粉を持つことです。加熱調理されたさつまいもの甘さは、糊化した澱粉にβアミラーゼ(酵素)が作用して、麦芽糖が生成されるからです。石焼イモも同じ原理です。本品種は電子レンジで美味しい焼イモになります。
すいおうは葉柄、葉身部の食味が優れ、ビタミン、ミネラル等の栄養素に富み、機能性成分であるポリフェノールが大変多く含まれています。

植付け圃場の準備と植付け法

さつまいもはアルカリ性土壌だとジャガイモのそうか病と同じ仲間の病原菌(放線菌)が活動して、生育初期に夭折する立枯病に罹ります。連作圃場では土壌pHを6以下の酸性に維持します。
イモを食害するコガネムシ類(ドウガネブイブイ、ヒメコガネ)の幼虫やハリガネムシの常発地は、植付け時に薬剤を畦内施用します。成虫の産卵盛期からふ化幼虫の出現期に当たる7月下旬~8月上旬に株元散布を2回組み合わせます。
施肥は全量基肥でくみあい有機BM甘藷専用を中心に加里/窒素比を2倍以上に調整します。さつまいもは窒素固定菌と共生しているため窒素施肥量は少なく、養分吸収力が強いこともあって、痩せ地でも良く育ちます。
植付け方法には斜め植え、水平植え、船底植えがあります。いずれも、土中に3節以上挿込み、株元に拳で窪みを作ると活着が良くなります。


ドウガネブイブイの3齢幼虫と新しい食痕


立枯病発生状況
(円内は黒変した根茎部)

蔓ぼけ現象とその対策

茎や葉の生育が旺盛であった割にイモの収量が期待はずれのことがあります。多収の時はイモ乾物重/全乾物重比は6割以上あるものが、3割以下のときが「蔓ぼけ現象」です。
一般に、蔓ぼけしやすい土壌は、通気性が悪く、土壌水分が多い、硬い土です。砂丘地では蔓ぼけはあまり見られません。
耕種的には、肥沃畑では稲ワラなどを鋤き込み、少肥で加里/窒素比を3倍以上にして深層施肥します。

さつまいもの甘味向上法

ジャガイモ、カボチャなど、収穫後の貯蔵温度が低いと短期間で糖含量が増加することが知られています。高系14号は収穫直後の甘味が不足しがちですが、20日間、10℃で貯蔵するとショ糖が大幅に増加し、甘味が向上します。

さつまいもの栄養成分

さつまいもの栄養主成分は炭水化物である澱粉で、焼イモとご飯で比較すると、エネルギーではほぼ同カロリーです。一方、微量栄養成分については、カリウム、カルシウム等のミネラル類、ビタミンE、C,A(βカロテン)、B群は焼イモの方が圧倒的に多く含んでいます。また、植物繊維も多く含まれ、腸内細菌叢を整えます。紫いものアントシアニン色素は血圧上昇抑制効果が確認されています。
以上、さつまいもは貧しい時代のコメの代用物ではなく、健康増進のためのヘルシー食品として定着しつつあります。

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