実績はっぴょう
<第47回JA石川県青壮年部大会/平成15年度実績発表大会優秀賞受賞>
「五郎島金時でつなぐ地域の和」

〜 心の交流サツマイモ栽培体験 〜

JA金沢市青壮年部 粟五 支部
島村 和憲

一つほんの一口ほおばれば、二つふっくらコボコボ、三つみんなたちまち笑顔になる五郎島金時。

五郎島金時は金沢の北方、日本海に面した金沢港の近くに位置する粟崎地区、通称五郎島と呼ばれているところで作られています。金沢を代表する加賀野菜の一つである五郎島金時のおいしさをより多くの人に知ってもらい、味わってもらいたいとの願いをこめて、私たちは日夜がんばって生産に励んでいます。五郎島金時の生産の中心となっているのが、JA粟五青壮年部のメンバーです。

現在粟五青壮年部の盟友は、50名ほどです。中心になって活動しているのは、20代から40代30名ほどの専業農家です。粟五地区で主に栽培しているのは、西瓜、サツマイモ、大根です。その中でも特に力を入れているのがサツマイモ、五郎島金時です。

我々粟五青壮年部が地域と一体になり、より多くの人々に五郎島金時に親しんでもらうために行ってきた活動を紹介したいと思います。 ここ数年、地域の小学校の総合的な学習で、サツマイモづくりの先生をし、地域の食農教育ということについてお手伝いをしています。小学校の子供たちだけではなく、もっとたくさんの人たちに農業というものを知ってほしいと考えていました。そこで、地元にある『アカシア保育園』に、地域の特産物である五郎島金時を、子どもたちにつくってもらえないかと話を持ちかけたところ、保育園の方でも子どもたちに農業体験をさせたいと考えていたようで、すぐに話がまとまりました。
 さっそく青壮年部の盟友を集め保育園からの話をしたところ

 「いいがんや〜、農業理解にもなるし。」

 「うちらの仕事が子どもらのためになるなら力になるぞ!」

という声があがり、他の盟友にも快く引き受けてもらいました。次は具体的にどのように進めていけばよいかという話になり、

 「中本支部長、私の畑をつかってください。」

と多くの志願者が盟友からありましたが、中本支部長の

 「お前たちの気持ちはよくわかった。しかし、こんな時こそ支部長が先頭に立って行動しなければいけないと思うんだ。みんなの気持ちは嬉しいが、今回は俺の畑を使うことにする。世話も俺が責任を持ってする!」

という一声で中本支部長の畑を“ふれあい農業体験農園”として使用し、サ

ツマイモの苗の植え付けと掘り取りの作業を子どもたちとその家族に体験

してもらうことにしました。苗の植え付けは、園の希望により5月17日と

し、収穫は9月下旬から10月初めという予定をたてました。苗の植え付け

まであまり時間もないことから、耕起、畝たてなどの植え付けの準備作業と

サツマイモ苗の手配を支部長にお願いし、何とか当日までに間に合わせるこ

とができました。

いよいよ5月17日、多少風は強いものの前日までの雨もあがり、植え付けには格好の日となりました。当初の予定ではほとんどの園児が参加するとのことでしたが、あいにく保育園でカゼが流行し、当日は欠席者が多く出てしまったのは残念でした。それでも30家族80人の参加となり、参加した子どもたちはみんな元気いっぱいで畑に集まってくれにぎやかな植え付け作業となりました。

JA金沢市青壮年部山口部長のあいさつのあと、さっそく苗の植え方の説明と注意点を話しました。

 「うねのしるしのところにこうやって植えて、砂をかけるげんぞ〜」

と一生懸命に説明しましたが、子どもたちの方は日頃触れることのない畑の

砂に大喜びし、砂山を作ったり、地面に絵を描いたりとほとんど聞いてはく

れませんでした。

大丈夫かと心配しつつ苗をくばり植えてもらいましたが、難しかったよう

で家の人の手を借りている子が多かったようです。しかし、どの子も目を輝かせて畝に苗を植えていました。とってものどかで微笑ましい風景でした。

作業体験だけではなく五郎島金時についての理解も深めてもらおうと考

えた我々青壮年部は、五郎島の人気ものゴロジマンとスイカ男に登場しても

らい五郎島金時の由来や特徴、栽培についてなどを子どもたちにもわかりや

すいように、アクションを交えた紙芝居風にして説明しました。紙芝居の内

容は子どもたちにとっては少し難しかったようで、あまり理解してもらえな

かったようにも感じられました。

また、事前に園児に聞いてあったサツマイモに関する疑問質問の答えを“五郎島金時なんでだろ〜”という歌にし、ギター片手にゴロジマンとスイカ男が熱唱しました。こちらは大好評で、子どもたちも一緒になって踊り、笑いと拍手を受けとても楽しい時間となりました。 

植え付け後、収穫までの管理は支部長が快く引き受けてくれました。しかしながら今年の夏は皆さんもご存じのように、低温長雨日照不足で、「ちゃんとイモなるがかいや〜」と生育の遅れが心配される年となりました。こんな天候のため、生育の具合をふれあい農園まで見に来ていた園児の家族もいました。9月も半ばを過ぎていよいよ五郎島金時の掘り取り作業が各農家でも始まりました。冷夏の影響が心配されましたが、作柄としてはまずまずといったところで一安心でした。保育園と相談の結果、収穫体験と収穫祭を9月23日に行うことにしました。

メンバーから子どもたちを迎えるにあたって、「看板あった方が盛り上がるし、目印にもなっていいがでないか?」という意見が出て、さっそく作ることになりました。ゴロジマン画伯によるこの看板のできの見事なこと。支部長をモデルにその特長をしっかりと描いてありました。あまりの傑作にメンバーから、

 「にとるぞいや!」

 「そっくり そっくり」

という声と笑いがあふれました。

いよいよ9月23日、この日も朝から天気がよく、芋掘りには最高の日となりました。畑には、例の看板を立て、一家族あたり5株のサツマイモを掘ってもらうことにしまし、掘り取りの手順や作業の係分担などの役割も決め準備万端で子どもたちを待ちました。

たくさんきてくれるか心配しながら待っていると、長い行列が近づいてきて畑の通路に入りきれないほどの大勢の人たちがあつまってくれました。今回は37家族100人の参加との話でしたがそばで見ていた私たちの目には、もっとたくさんの人がいたように映りました。いよいよ収穫体験がはじまりました。掘り方の説明をしたのですが、子どもたちは説明を聞くよりも早く掘りたくてうずうずしているようで、軍手をはめ今かいまかと畑の方ばかりみていました。その様子から説明よりも実際に掘ってもらう方がよいと判断して、説明を予定より早めに切り上げ畑に入ってもらいました。

 「芋掘り開始!!」

やっぱり私たちが予想していた通り、簡単には芋はほれませんでした。芋の蔓を引っ張って切り、芋の株を出す作業。これがなかなか大変でひっぱっても蔓が切れない子ども、切った蔓に足をひっかける子ども、自分一人では力およばず家の人に手伝ってもらう子ども、悪戦苦闘する姿があっちでもこっちでも見られました。次は砂をほって芋をほり出すのですが、小さい手で何度も何度も砂をどけていました。赤い顔のサツマイモがやっと出てきたときは、どの子の顔もみんな『ニコ〜』といい顔をしていました。大きい芋・小さい芋長い芋・短い芋、芋がほり出されるたびに、

 「わぁー、でっかーい!」「やっとほれたー」

あちらこちらで歓声が上がり、自慢げに自分がほった芋を見せ合う姿が見られました。すぐに用意してきてもらった袋が一杯になりました。

袋一杯の芋を見て今度はお母さんたちが『ニッコニコ!』きっとこのサツマイモをどうやって食べようかと、頭の中でサツマイモ料理をあれやこれやと思いうかべ微笑んでいたのではないかと思います。

掘り取り終了後に支部長による機械での掘り取り作業の実演が行われました。『ゴォーゴォー』と大きなエンジン音をたて砂の中から芋がベルトコンベアーに乗って掘り出される様子に、子どもたちはみんな一様に驚いていました。

掘り取り作業の次は、園に帰っての昼食を兼ねた収穫祭を行うことになっていました。食事の準備が整うまで子どもたちや家族の人たちと共に玉入れや輪取りゲームをしたり、メンバーがモグラに扮したもぐらたたきゲームをしたりして楽しんでもらいました。特にもぐらたたきゲームは子どもたちに大人気で

 「もう一回、もう一回」と、子どもたちが列を作り、たたかれるモグラがくたくたになり、動けなくなるほどでした。

昼食はサツマイモを使った料理をJA女性部の皆さんに朝早くから準備してもらいました。メニューは大学芋・スィートポテト・めった汁とおにぎりです。青空の下、芝生に腰を下ろしてみんなで一緒に食べてもらいました。

みんな『美味しい、美味しい』といって食べてくれ、特にサツマイモがたくさん入っているめった汁は、代わる代わるお代わりをしてあっという間に大きな鍋が空っぽになってしまうほどでした。

食事が終わり、子どもたちがお礼にとそろいの法被に鳴子を手に『浜っ子ソーラン桜』の踊りを見せてくれました。この日のためにみんな一生懸命練習してくれたそうです。閉会式では、園から支部長に花束が贈られ、園長先生から感謝の言葉と共に来年もお願いしますとの依頼の言葉をいただきました。子どもたちやその家族に喜んでもらえ、五郎島金時について知ってもらうよい機会として、来年も是非この行事を続けたいという思いをあらためて強くしました。

 私たち粟五青壮年部のメンバーは徐々に減ってきてはいますが、まだまだ若い専業農家の後継者が多い地域です。五郎島金時という特産物があるおかげで、農業で生きていこうという若者が出てきます。五郎島金時に甘えることなく、若い力で明日の農業を切り開くという心意気で日々研鑽と努力を続けています。また自分たちの作った農産物に誇りと自信を持っています。五郎島金時というブランドにあぐらをかくことなく、トレーサビリティを徹底して栽培しています。そして、様々なイベントに積極的に参加するなど消費者の皆さんと接する機会をより多くもうけその声を聞き、生かしていくことで、消費者のみなさんと生産者がともに喜び会えるような農産物を作っていきたいと考えています。

 その一環として保育園との交流の他にも、百万石祭りへの参加やフードピアへの参加、五郎島金時祭りの開催などにも取り組んできました。6月14日の金沢百万石祭りでは金沢市内の目抜き通りを豊年太鼓とともに『スイカ男』が五郎島金時や割れスイカを配りながら練り歩き、沿道の見物客から人気をはくしていました。

 またフードピアでは、五郎島金時で作った焼き芋やサツマイモチップスを販売しています。こちらは毎年の参加を楽しみにしているお客さんも多く、焼き芋は焼いても焼いても30分から1時間の待ち時間ができるほどの人気です。

 今年新たに行われた『金時祭り』は、新聞やラジオなどで100家族を募集し、芋掘り体験や芋の量当てクイズ、焼き芋作り、そしてなんと言っても五郎島の名物男ゴロジマンなどのパホーマンスを見てもらいました。どの活動でも、たくさんの方々に五郎島地区のこと、生産している農産物のこと、そして何より私たち生産者が、消費者のことを考えて作物を育てているということを知っていだだけたのではないかと思います。

 《これからの食》ということを考えてみると、食の安全・安心、スローフード、地産地消、そして食農教育という言葉が頭に浮かんできます。地元で生産される農産物は様々な面で重要な位置を占めてくると考えられます。粟五青壮年部では、《これからの食》という観点からも様々な情報や、優れた農産物を今後とも五郎島から発信し続けて行くことができればと考えています。これらの活動を通して地域の方々と交流できたことが、私たち青壮年部の目に見えない大きな財産になったのではないかと思っています。人と人をつなぐ農業ということをこれからも考えていかなければならないとあらためて感じた活動でした。

ご静聴、有り難うございました。


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